相続税の計算方法

相続税の算出については断片的な情報が出回っていますが、実際の計算手順はあまり理解されていないように思われます。このページでは相続税額の計算手順を説明いたします。「1 相続財産の算出」は相続人の方が必ずご自身でされなければならない重要な始めのステップですので、まずは心して取り組んでいただきたいと思います。
  • このページの説明はあくまで大筋ですので、税額の目安をお知りになりたい場合にご利用ください。実際は相続の状況や他の諸条件により税額は異なります。
  • このページの説明は平成31年4月1日現在の法令によっています。

1 相続財産の算出

現金・預貯金、有価証券、不動産(土地・建物)、生命保険、債権などの合計から債務、葬式費用などを減算します。
  • 有価証券は株式(上場/非上場)、社債、投資信託など種類によって評価方法が様々です。詳しくは国税庁のホームページをご参照ください。
  • 建物は被相続人が使用していた場合は固定資産税評価額になります。
  • 土地は多くの場合路線価を基準に評価し、小規模宅地の特例を受けられる場合には適用後の価格をここでは加算します。
  • 生命保険は非課税限度額(500万円×法定相続人の数)を超える部分が加算されます。
  • 小規模宅地の特例を受けると、例えば相続発生時に被相続人が居住していた土地をその配偶者が相続する場合に80%減額できる可能性があります。多くの条件がありますので詳細は国税庁のホームページをご参照ください。
(国税庁のホームページ~相続財産や贈与財産の評価) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/zaisan301.htm
(国税庁のホームページ~小規模宅地の特例) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm

2 課税遺産総額

課税遺産総額は1で求めた相続財産総額から基礎控除額を減算したものになります。
課税遺産総額 = 相続財産総額 - 基礎控除額
基礎控除額 = 3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
  • 課税遺産総額が0円以下であれば相続税はかかりません。この場合は申告も必要ありません。ただし小規模宅地の特例などを受ける場合は税額が0円でも申告が必要になります。
  • 法定相続人は必ず戸籍で確認する必要があります。被相続人に子がいない場合、範囲が親や兄弟、甥姪まで及ぶこともあります。

3 相続税の総額の計算

課税遺産総額を法定相続人が法定相続分で按分し、それぞれの税額を下の相続税の速算表を元に次の式で計算してから合計したものが相続税の総額になります。(実際の相続割合でなく法定相続割合で按分です)
各相続人の按分額 × 税率 - 控除額
相続税の速算表
課税価格 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円
  • 法定相続割合は各ケースで次の表のようになります。子、親、兄弟(配偶者以外)が複数人の場合は人数で割ります。(例えば配偶者と子2人の場合、配偶者1/2、子1/4ずつ)
  • 相続人が亡くなってその子が相続人になるという場合もあります。(代襲相続)
相続人の組合せ
配偶者
(必ず相続人)
(第1順位)
(第2順位)
兄弟姉妹
(第3順位)
配偶者・子 1/2 1/2
配偶者・親 2/3 1/3
配偶者・兄弟姉妹 3/4 1/4
配偶者のみ 1
子のみ 1
親のみ 1
兄弟姉妹のみ 1

4 各人納税額の計算

実際の相続額で相続税総額を按分してから、配偶者については配偶者の税額軽減を適用します。
  • 配偶者の税額軽減とは法定相続分または1億6000万円までのいずれか多い金額に対応する額までの税額控除です。
このように相続税額の算出には机上の計算だけでなく、資料の収集から財産評価、不動産登記なども含む大変手間のかかる煩雑な作業が必要になります。 当事務所では税計算と申告にとどまらずワンストップでこれらの流れ全般について親身にサポートさせていただいております。 お悩みの方は是非ご連絡ください。